先週の神宮スタジアムの花火大会は妹のアパートから見えるので、花火パーティーに招待されましたが、疲れていたので、遠慮しました。
この「遠慮」の意味は何でしょうか?皆さんはわかりますか?今回は「遠慮」が含むニュアンスを見てみましょう。
上の文で「遠慮しました」というのは、つまり、「私は花火パーティーの招待を断った」という意味です。『大辞林』の辞書によると、「事情や状況を考慮して、やめること、辞退すること」という定義(1)があります。「その時の私の事情、疲れていたとか、夜遅くなってしまう、ということを考えて、行くことをやめた」という訳です。
電車やバス内には「携帯電話の使用をご遠慮ください」という注意書きがありますね。これは、「まわりの人への迷惑を考えて、携帯を使うことをやめてください」ということです。公共の場所での「たばこを遠慮してください」などというのも同じ意味です。
また、「他人に対して、言動をひかえめにすること」という定義(2)もあります。例えば、初めて友だちや恋人の家に行って、その親に会った場合、だれでも(少しは)緊張しますよね?そんな時、食べ物や飲み物を出されても、おいしからといって、どんどん食べないですよね?相手の様子を見たり、食べてもいいかなあ?と考えたりしながら、少しずついただきますね?そんな気持ちが「遠慮」です。
あなたがそんな気持ちになると、友だち/恋人のお母さんは「遠慮しないで、食べてね」と言うでしょう。「ひかえめにならないでくださいね」という意味です。そしたら、あなたは「遠慮なく、いただきます」と言ったらいいですね。
(1)と(2)の定義を合わせると、「遠慮してください」と言う場合には、「やめてください」という強い言い方ではなくて、「まわりの状況や人の気持ちを考えて、遠慮する気持ちを持ってください」というソフトな言い方になっていると思います。意味は「禁止」なのですが、日本人らしく遠まわしに注意しているのでしょう。
そして、他の人からの招待や申し出を断る時に使う「遠慮させてください」という表現も、(1)と(2)を合わせると、「行けません」とか「できません」とはっきり言うのではなくて、「断わるのは申し訳ありません」という気持ちを含むことができます。
では、最後におもしろい表現を紹介しましょう。―「遠慮のかたまり」
聞いたことがありますか?例えば、友だちと鶏のからあげをシェアして、食べている時、からあげが一つだけお皿の上に残ったことはありませんか?こんな場合に、最後の一つを食べようか、どうしようか、考えたことがありませんか?「おいしいから、もう一つ食べたいけど、最後の一つだから、私が食べてしまったら、友だちに悪いかな?友だちも最後の一つを食べたいかな?だから、食べるのをやめよう。」こういう気持ちがあって、一つだけ残っている物が「遠慮のかたまり」なのです。
こうやって見てみると、「遠慮」の使い方には日本人的な心情がよく表れていると思います。ただ、この「遠慮」の気持ちは万国共通ですよね?あなたの国の言語では「遠慮」をどのように表現しますか?